Webエンジニアの大手企業一覧を年収と自社開発比率で比較する

Webエンジニアの大手企業について調べると、記事ごとに挙げている社名も並べ方もばらばらで、何を基準に大手と呼んでいるのか分からないまま読み進めることになります。上場しているかどうかを見る記事もあれば、知名度だけで並べている記事もあります。
この記事では、大手をどう判定したかという基準を先に示したうえで、自社開発の大手Web系企業とSIer大手を同じ形式の表で年収と上場区分を比較します。商流の違いから見えてくる働き方の差も整理しました。
- 情報の確認日 2026年9月24日
- 読み比べた記事 検索上位の13本
- 確認した一次情報 東京証券取引所『新市場区分の概要等について』、日経会社情報の各社平均年収ページ、公正取引委員会『ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書』(2022年6月公表)
- 参考にした読者の声 Yahoo!知恵袋の質問1件、JobQの質問1件、noteの商流解説記事1件
この記事は筆者の体験談ではなく、上の資料と投稿を読み比べて整理したものです。数値は一次情報で確認できたものだけを載せ、確認できなかったことは「この記事で分からないこと」にまとめています。
「大手」をどう判定するか、この記事の基準

この記事では大手を、東京証券取引所のプライム市場などに上場していて、有価証券報告書や日経会社情報で従業員数と平均年収が確認できる企業と定義しています。非上場企業や知名度だけを基準にすると、数値の裏付けが取れず、記事ごとに範囲がばらついてしまうためです。この基準で並べ直すと、SIerと呼ばれる企業も同じ土俵で比較できます。
プライム市場を基準にする理由
東京証券取引所は、プライム市場のコンセプトを次のように説明しています。
多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業及びその企業に投資をする機関投資家や一般投資家のための市場です。
プライム市場に上場する企業は、株主数800人以上、流通株式時価総額100億円以上といった維持基準を満たし続ける必要があります。基準の詳細は東京証券取引所『プライム市場の上場基準』で公表されています。
この記事で扱う企業の範囲
比較対象は、自社サービスを中心に据える大手Web系企業7社と、比較のためのSIer大手1社です。いずれも東証プライムに上場していて、平均年収と従業員数が公開情報で確認できる企業に絞りました。グループ会社や非上場の関連会社は対象に含めていません。
- 東京証券取引所のプライム市場などに上場している
- 有価証券報告書や日経会社情報で平均年収が確認できる
- 自社サービス中心か、受託・SES中心かが公開情報から判断できる
この3つを満たさない企業は、今回の比較表には入れていません。基準をそろえておくと、他の会社を自分で調べるときにも同じ条件を使い回せます。
「大手だから安心」ではなく、何を確認したから大手と呼んでいるかを先に決めておくと、他の会社を調べるときの物差しにもなります。
自社開発の大手Web系企業一覧

自社開発とは、自社が企画したサービスを自社の社員が設計・開発・運用まで担う働き方です。今回の基準を満たす大手Web系企業は、広告・ゲーム、EC・金融、メッセージアプリ、人材といった事業領域に分かれていて、同じ「大手」でも収益の柱はそれぞれ違います。まず7社の顔ぶれと事業内容を、総合サービス系と専門特化系に分けて確認します。
総合サービス系
サイバーエージェントは広告事業とAbemaを中心としたメディア事業、ゲーム事業を柱にしています。楽天グループはECのほか金融・モバイル通信まで事業を広げていて、LINEヤフーはメッセージアプリと検索、EC事業を運営しています。3社とも、複数の事業をまたいで開発組織を持つ点が共通しています。
専門特化系
ディー・エヌ・エー(DeNA)はゲーム事業を軸にヘルスケアやスポーツ関連事業へ広げ、メルカリはフリマアプリと信用サービスに事業を絞り込んでいます。GMOインターネットグループはドメインやホスティングといったインターネットインフラ事業が中心で、リクルートホールディングスは人材・販促領域のプラットフォームを運営しています。
| 会社名 | 主な事業 | 上場市場 | 証券コード |
|---|---|---|---|
| サイバーエージェント | 広告・メディア(Abema)・ゲーム | 東証プライム | 4751 |
| ディー・エヌ・エー(DeNA) | ゲーム・ヘルスケア・スポーツ関連事業 | 東証プライム | 2432 |
| 楽天グループ | EC・金融・モバイル通信 | 東証プライム | 4755 |
| メルカリ | フリマアプリ・信用サービス | 東証プライム | 4385 |
| LINEヤフー | メッセージアプリ・検索・EC | 東証プライム | 4689 |
| GMOインターネットグループ | インターネットインフラ・広告・金融 | 東証プライム | 9449 |
| リクルートホールディングス | 人材・販促プラットフォーム | 東証プライム | 6098 |
キャリアノート編集部が、各社の公表情報と日経会社情報の掲載データをもとに整理(2026年9月24日確認)。上場市場・証券コードは確認時点のもの
事業の中身は違っても、7社とも自社サービスの企画から運用までを自社の開発組織が担う点は共通しています。次の章では、この7社とSIer大手の平均年収を並べて比較します。
「大手Web系企業」とひとくくりにすると、広告なのか金融なのか人材なのか、実際にどんなサービスを作る仕事かが見えなくなります。応募前に事業内容を確認してください。
大手Web系企業の平均年収を横並びで比較する

大手Web系7社の平均年収は、日経会社情報の掲載データで841万円から1,176万円の範囲でした。いずれも全社員(職種や年齢を問わない)を対象にした平均値で、エンジニアだけを抜き出した数値ではありません。比較のためSIer大手のNTTデータグループも同じ基準で並べています。表と注意点をあわせて見てください。
| 会社名 | 平均年収 | 確認した情報源 |
|---|---|---|
| メルカリ | 1,176万円 | 日経会社情報 |
| ディー・エヌ・エー(DeNA) | 1,118万円 | 日経会社情報 |
| リクルートホールディングス | 1,162万円 | 日経会社情報 |
| NTTデータグループ(SIer比較) | 923.4万円 | 日経会社情報 |
| サイバーエージェント | 914万円 | 日経会社情報 |
| LINEヤフー | 902万円 | 日経会社情報 |
| 楽天グループ | 851万円 | 日経会社情報 |
| GMOインターネットグループ | 841万円 | 日経会社情報 |
平均年収は賞与や基準外賃金(残業代・各種手当)を含む全社員の額面(税引き前)の値です。日経会社情報に掲載の値を2026年9月24日に確認しました。出典は各社の有価証券報告書等です。
平均年収を読むときの注意点
有価証券報告書に記載される平均年間給与は、勤続年数や役職が異なる正社員全体を対象にした平均です。個人の給与額と一致するとは限りません。
- 賞与(ボーナス)を含む
- 残業代や各種手当(基準外賃金)を含む
- 退職金や福利厚生の金銭換算分は含まない
平均年収は入社年数や役職が違う社員の平均なので、新卒や20代の給与とは一致しません。求人票に載っている年収レンジと合わせて確認してください。
SIer大手との差
NTTデータグループの平均年収は923.4万円で、7社の中央付近にあたる金額です。今回の比較では、Web系大手だから年収が高い、SIer大手だから低いという単純な差は見られませんでした。差が出やすいのは年収そのものよりも、次の章で見る商流や評価のされ方です。
同じ「平均年収」でも、集計の母集団が違えば数字は比べられません。今回はすべて全社員平均という条件をそろえて並べています。
Web系大手とSIer大手の違い(自社開発比率と商流)

Web系大手とSIer大手の最大の違いは、収益を誰から得るかという商流の位置です。Web系大手は自社サービスの利用者や広告主から直接収益を得るのに対し、SIer大手は発注企業からシステム開発を請け負う立場で、案件によっては元請けから二次請け、三次請けへと商流が連なります。この位置の違いが、働き方や裁量の差につながります。
商流が深くなると起きること
公正取引委員会『ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書』は、多重下請け構造の中で、付加価値を生まない中抜きや代金の買いたたきが根深く存在していると指摘しています。商流が深くなるほど、現場のエンジニアに渡る単価や裁量が小さくなりやすい構造です。
商流が浅い案件ほど、仕様や技術選定に関わる裁量が大きくなりやすいとフリーランスエンジニア向けに商流を解説したnote記事は説明しています。Web系大手は基本的に自社と顧客の直接契約なので、この点でSIerの下位の商流とは前提が異なります。商流の仕組みそのものはSES会社と商流を整理した記事でも詳しく扱っています。
キャリアの天井をどこで感じやすいか
SIer大手そのものの年収水準が高くても、案件によっては商流の下位に配属され、設計や技術選定に関われないまま数年が過ぎることがあります。担当する案件が商流のどの位置にあるかは入社時点では分からないことも多く、配属後に初めて分かる場合もあります。SIer大手グループの内部にも序列があり、NECグループの序列を整理した記事では資本関係と公表数値をもとに比較しています。
| 比べる項目 | 自社開発の大手Web系企業 | SIer大手(受託・SES中心) |
|---|---|---|
| 収益の作り方 | 自社サービスの利用者・広告主から直接得る | 発注企業からシステム開発を請け負う |
| 契約の構造 | 基本的に自社と顧客の直接契約 | 元請けから二次請け・三次請けへ商流が連なることがある |
| 評価の物差し | サービスの利用者数や売上、技術的な改善成果 | プロジェクトの納期遵守や工数管理、顧客満足度 |
| キャリアの伸びしろ | 自社サービスの企画・改善に近づける | 商流が深いほど上流工程や技術選定の裁量が小さくなりやすい |
キャリアノート編集部が、公正取引委員会の実態調査と各社の公開情報をもとに一般的な傾向として整理。個別の企業・案件は契約内容によって異なります
表はあくまで傾向であり、SIer大手の中にも上流工程を任されるチームはありますし、Web系大手の中にも運用作業が中心のチームはあります。
- 収益源が自社サービスか受託かで、評価の物差しが変わる
- 商流が深い案件ほど、技術選定の裁量が小さくなりやすい
- 同じ「大手」でも、配属されるチームで差が大きく出る
商流が深いか浅いかは契約書や求人票だけでは分からないことが多く、面談で直接確認する必要があります。「元請けですか」だけでなく「どの工程を担当しますか」まで聞くと実態が見えやすくなります。
年収の数字だけを見ると差が小さく見えても、日々の仕事でどこまで裁量があるかは商流で大きく変わります。求人票の年収と一緒に、契約の位置づけも確認してください。
未経験・他業種から大手Web系エンジニアを目指す入り口

未経験から大手Web系企業に直接入社する例は多くありませんが、中小のSIerやSES企業でWeb系の開発経験を積み、その実績を職務経歴書にまとめてから中途採用に応募する道筋はあります。新卒の場合は、インターンや個人開発の成果物が選考で重視される傾向があります。準備の仕方はキャリアの段階によって変わります。
中途で目指す場合の準備
中途採用では、担当した工程(設計か実装か)、使用した技術、チームでの役割を具体的に書けるかどうかが見られます。運用保守だけの経験でも、改善提案や自動化の実績があれば、実装に近い経験として伝えられます。
新卒・第二新卒で目指す場合の準備
新卒・第二新卒の選考では、個人で開発したアプリやWebサービスをポートフォリオとして提出できると、実務経験の少なさを補えます。JobQ『web系で大手の内定はどうしたらもらえる?』に寄せられた質問でも、大手Web系企業の内定を得るための準備として、個人開発の実績が挙げられていました。
- 担当した工程と使用技術を具体的に書けるようにする
- 運用保守の経験でも、改善提案や自動化の実績を実装に近い経験として伝える
- 個人開発の成果物をポートフォリオとしてまとめる
- 応募先の事業内容を理解したうえで、志望動機を事業に結びつける
どの道筋でも、応募先が何を評価基準にしているかを求人票と採用ページで確認してから準備を進めると遠回りになりません。
大手だからといって、いきなり難しい選考が課されるとは限りません。まずは求人票の応募資格を確認して、足りない部分から埋めていくのが近道です。
入社前に確かめておきたいチェックリスト

求人票や会社説明だけでは、実際の商流や評価の仕組みまでは分かりません。面談で次の項目を確認しておくと、入社後に「思っていた仕事と違う」となる失敗を減らせます。求人票で分かる範囲と、面談でしか分からない範囲を分けて整理しました。応募先を比較するときのチェックリストとして、そのままメモに控えて使ってみてください。
求人票で確認する項目
- 事業内容が自社サービスか、受託・SES中心かが明記されているか
- 配属先の事業部やプロダクト名が具体的に書かれているか
- 従業員数や上場区分が記載されているか
面談で確認する質問
- 配属予定のチームは、自社サービスの企画から運用までを一貫して担当しているか
- 案件が商流の下位に位置する仕事(SIer大手の場合)は、入社後にどの程度あるか
- 評価の基準は、成果物の売上や改善効果か、工数の遵守か
答えがあいまいな場合や、質問をはぐらかされる場合は、実態が求人票と違う可能性を考えておくと安全です。IT業界で働き方を比べたい人に向けた記事は、比べるカテゴリの記事一覧にもまとめています。
遠慮せずに聞いてください。答えられない会社より、具体的に答えてくれる会社のほうが、入社後のギャップは小さくなります。
- 各社の平均年収は全社員の平均であり、エンジニア職だけの年収は公開されていません
- 案件ごとの商流の深さ(元請けか二次請け以降か)は、個別の求人票からは分からないことが多いです
- 中途採用の合格率や選考通過の基準は、各社とも公表していません
よくある質問
大手Web系企業とメガベンチャーは同じ意味ですか?
同じ意味で使われることが多いですが、厳密には範囲が違います。メガベンチャーは急成長したベンチャー企業を指す言葉で、上場の有無や設立からの年数は問いません。この記事で扱った7社はいずれもすでに上場していて、従業員数も数千人規模の企業です。設立が新しく非上場のまま急成長している企業は、メガベンチャーと呼ばれてもこの記事の「大手」の基準には含めていません。両方の言葉が指す企業は重なりますが、完全に一致するわけではないと考えておくと混乱しません。
SIerからWeb系大手への転職は難しいですか?
難易度は担当してきた業務の内容によって変わります。設計やコーディングを自分の手で行ってきた人は、使用言語や担当工程が近ければ選考で評価されやすくなります。一方、要件定義や進行管理が中心で実装にほとんど関わっていなかった場合は、実装経験を補う準備が必要になることがあります。今の仕事が商流のどの位置にあり、どの工程を担当しているかを整理してから応募先を選ぶと、準備すべき点が見えやすくなります。
平均年収の数値は、新卒や20代の給与と同じですか?
同じではありません。有価証券報告書に記載される平均年間給与は、勤続年数や役職が異なる社員全体の平均です。新卒や20代の給与は、この平均よりも低いのが一般的です。実際の初任給や年代別の給与水準を知りたい場合は、各社の採用ページに記載されている初任給や、求人票の年収レンジを別途確認する必要があります。
まとめ
大手Web系企業は、上場区分と公開されている平均年収で確認すると、事業領域も年収水準も一様ではありません。今回比較した7社の平均年収は841万円から1,176万円の範囲で、SIer大手との差は年収そのものよりも、商流や評価の仕組みに表れていました。基準をそろえて比較すると、印象だけで語られがちな「大手」の中身が見えてきます。
- 「大手」は上場区分と公開されている従業員数・平均年収で判定すると基準がぶれない
- 大手Web系7社の平均年収は841万円から1,176万円で、SIer大手と極端な差があるわけではない
- 違いが出やすいのは収益源(自社サービスか受託か)と商流の深さ
- 未経験・中途どちらの場合も、担当工程と使用技術を具体的に語れる準備が近道
- 入社前は求人票と面談で、配属先の事業内容と商流の位置を確認する
まず、今の仕事が商流のどの位置にあるかを整理するところから始めてみてください。このサイトの記事の作り方は編集方針と情報源にまとめています。
参考資料
- 東京証券取引所『新市場区分の概要等について』
- 東京証券取引所『プライム市場の上場基準』
- 公正取引委員会『ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書について』(2022年6月)
- 日経会社情報 サイバーエージェントの平均年収
- 日経会社情報 ディー・エヌ・エーの平均年収
- 日経会社情報 楽天グループの平均年収
- 日経会社情報 メルカリの平均年収
- 日経会社情報 LINEヤフーの平均年収
- 日経会社情報 GMOインターネットグループの平均年収
- 日経会社情報 リクルートホールディングスの平均年収
- 日経会社情報 NTTデータグループの平均年収
- JobQ『web系で大手の内定はどうしたらもらえる?』
- note『フリーランスエンジニアが理解しておきたい商流について』
